雪原を駆ける陸蒸気、SLばんえつ物語号をスケッチする①

皆様、あけましておめでとうございます。2026年もよろしくお願いします。
…そんな祝賀ムードを吹き飛ばすが如く、早速あの国がやってくれました。アメリカによる南米ベネズエラへの軍事作戦、そして現職大統領の拿捕。国連常任理事国にして、世界の警察を標榜した大国の、一連の行動が、世界中を震撼させています。
年号が令和になって以降の年末年始を振り返ってみると、常に何らかの甚大な災厄に見舞われて続けているように思います。疫病、地震、飛行機事故。波乱な時代を象徴しているようです。そんな時代に生れ落ちながら、こうして線路際に噛りつき、鉄の箱(ステンレスの箱の時もある)を撮っていられるというのも幸せな話だなァと、そんなことを考える今日この頃です。うだうだ書いた割に、月並みな話に着地しちゃったな。
閑話休題。今回は昨年12月に撮影したSLばんえつ物語号を取り上げます。
少しだけ自分語りをさせて頂きますと、これまで私のメイン被写体は、路面電車を中心とした中小私鉄ばかり。撮影自体に不満を抱いたことはないのですが、一方でマンネリを感じていたことも事実でして…。そんな昨年春、大学卒業を機に様々な被写体にチャレンジしてみようと思い立ちました。それらの紹介のうち幾つかは別の機会に譲りますが、一連の取り組みの大トリとなったのが、今回のばんえつ物語号でした。
一昨年の「ばん物」最終運行日、某SNSに投稿されていた、大雪の中を疾走する「貴婦人」の写真があまりに格好よく、気づいたら翌年12月のグーグルカレンダーを開いておりました。そこから1年越しの初陣。果たしてベストショットは収められるのか。事故なく生還できるのか。そもそも雪は降るのか…?
「SLビギナー」による四苦八苦の撮影行、ぜひご笑覧ください。
【12/6(土)】
朝4時半、起床。いや、眠すぎるだろ…。おやすみなさい。zzz。
という訳で、乗車予定だった武蔵野線始発を乗り過ごすという波乱の幕開けでしたが、南浦和2分乗り換えをキメて、なんとか大宮6時33分発「とき301号」に滑り込みます。行楽シーズンでもなんでもない普通の土曜日でしたが、車内は結構な乗車率です。広い広い関東平野のまんなかで、鋭い朝日に身を輝かせる高速列車は、高く厚く聳える上越国境のその先を目指します。越後湯沢まで来ると見事な銀世界でしたが、越後平野に入って再び雪とおさらば。そして、約1時間半という短い旅路の終点、新潟駅に到着です。
明らかに同業者らしき、四段ハスキーを携えた男性グループを眺め遣りつつ、ひとりレンタカー屋を目指します。はやる気持ちを抑えながら車を借り受けると、早速沿線へ。

東下条~五十島
平野部はほぼ降雪ゼロでしたが、山間部に入るや否や、積もっております雪雪雪!しかも快晴!思わずハンドルを握る手にも力が入ります。興奮醒めやらぬまま、目をつけていた俯瞰ポイントへ。

津川~鹿瀬
磐越西線の撮影地は殆ど知らないので、適当に車を流します。津川駅で列車を追い抜くと、やがて線路沿いに鈴なりの撮影者を発見。初心者なのだし、ここは手堅く行こうと、歴戦の猛者(っぽい方々)に交じって一枚。

荻野~山都

同上
会津の雄、磐梯山を目指して。後補機DE10もいい味出してます。なんだか北海道みたいな景色ですね。

山都~喜多方
山都を発車すると、列車は一ノ戸川橋梁を渡ります。素人の自分でも流石に名前を聞いたことがある位には有名な橋ですね。案の定、橋のたもとには多くの撮影者がひしめいています。追っかけ組が加わる余地もなさそうだったので、定番とは反対側からシルエット狙いに変更。結果的にはこれが功を奏しまして、初雪で白く染まる里山をゆく蒸気機関車という、押さえておきたかった一枚が撮れました。
会津若松まで追っかけたところで先駆者より良い写真が撮れる自信がない(嫉妬)、そもそも寝不足で追っかける体力がない(怠惰)、喜多方ラーメンが食べたい(暴食)などなど、七つの大罪を全コンプする勢いだったので、喜多方でゆっくりすることにしました。
昼食を済ませ、公園の駐車場で仮眠をとり、それでもまだ時間があったのでドライブすることに。

と、道中で良さげな神社を発見!思わず車を停め、外に出ます。

聳える飯豊連峰、神社の素朴な佇まい、そして神の微笑みのような素晴らしい青空。

喜多方~山都
ところ変わって線路際。SLの露払いとなる普通列車です。初雪は大地の全てを覆うことはなく、もこもことしたリズム感が楽しい。

喜多方~山都
冬至まで一か月を切り、日が落ちる前に撮影できるのは実質1発のみ。どこで撮影するか相当悩みましたが、夕暮れ時まで姿を現していた会津磐梯山への表敬も兼ねて、舞台田の直線区間へ。琥珀色に身を輝かせた貴婦人が檜舞台に現れたとき、本当に感動しました。
…しかし、改めて思うのがこの構図、山と絡めたいのなら煙が立った時点でアウトですよね。程よく寝てくれたので結果オーライではありますが、結構な博打でした。撮影時は気にしていませんでしたが。こういうところが初心者なんですよね。

通過後すぐに振り返ると、立ち上った煙は空を覆いつくさんばかり。

飯豊連峰の見事なアーベントロートに後ろ髪を引かれつつ、SL列車を追いかけます。
が、ここでトラブル。追っかける途中で県道から外れ、農道に入ってしましました。路面は轍が僅かに残るばかり。仕方がないので薄暮の撮影は諦め、津川駅までワープすることにします。

津川駅
闇を切り裂いて入線。

最後部の特徴的な展望車両も押さえておきます。

12系客車の暖かい光がホームを彩ります。

山間の小駅に汽笛をこだまさせながら、悠々と発車するばんえつ物語号。星空と煙の競演です。

そして、列車は去っていきました。
これにて初日の撮影は終了。新津まで戻ります。某活clubに投宿して、レストラン三宝(新潟発祥の中華ファミレス店らしい)で晩御飯を食べて、スーパー銭湯で疲れを癒すと、もはや機能停止状態。心身を労わりつつも、折角の漫喫なのだからときっちり漫画一冊だけ読み、就寝。おやすみなさい。(つづく)